「おい、天使。買い物行く?」
下り坂、上り坂。
「行く。」
奇妙な同居人が出来た。
自称天使の居候。
この間羽を見せて頂いたので恐らくモノホン。
と、いうか。
俺はやはりとんでもなく寝起きに弱い人間で。
あの朝、
コイツを初めて見た時に、
俺は確かにコイツを『何か』と認識したのだ。
『誰か』ではなく。
その理由がやっと分かった。
昨日見た純白の羽。
俺が目を覚ました時は未だ羽を消していなかったのだ。
仕様が無ェじゃん、低血圧だもの。
「・・・自転車?」
俺は恐る恐る尋ねた。
天使の目は―あの時の様に―キラキラと輝いていて。
コドモの様に。
「自転車!!」
坂を滑っていく車輪。
耳元でビュオウと奇妙な音をたてて過ぎる風。
「サイッコーっ!!」
自転車の後ろに乗った天使が白いシャツと茶色の髪を靡かせて目を細める。
確かに最高。
この下り坂が帰りに上り坂に変わらなければ。
でも、
「気持ち良いなっ!!」
この時の俺は帰りはカゴにも質量が増す事を忘れていた。
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